TRAVELOG vol.2~カナダ:イエローナイフ編~
前回までのあらすじはこちら(笑)
「なんて言った?パスポート、なんだって?」
「うん、失くしたの。」
「え、いつ?」
「昨日。」
「いまは?見つかったの?」
「ううん、見つかんなかった。」
驚く話だ。
外国でだ。(彼にとってもカナダは外国や。)
外国でパスポート失くすって、どれほど大きな問題かはなんとなくお分かりいただけるだろうか。
説明は難しいけれど、旅や外国にいるに当たって、命・からだの次に大切なのは多分パスポートだ。
そのため、家に置いておくのも不安だし、常にカバンの中の一番大切なもの入れポケットへポーチなんかに入れていつも持ち歩くくらいのもの。な・ぜ・な・く・す!!!
つーか、あなた。
こんなところにいる場合じゃなくないか??
っていう空気がわたしだけでなく、まーさんやりりからも流れたのが一瞬で目に見えた。
というか、パスポートなかったら今日の飛行機…乗れないんじゃ…?
ていうか、旅行行ってる場合じゃないよやっぱり。
それどころじゃないよ!!!( ・ᄇ・)
「いやいyいあやいややyいあいy!大丈夫なの?!それすごいまずいじゃん!」
「え、でも。国際免許証あるし。これで本人確認になるんじゃない?」
す、すげえ…全然焦りがない…!というかこれから飛行機に乗れないかもしれない心配をしている…!!心配すべきはそこじゃないと思うんだが…!むしろ、パスポートって失くしてもそんなわたわたしなくていいのか…?なんだこの落ち着き払ったかんじは…!
「う、うんんんどうかな……わかららないけどおおお。ていうか、探さなくていいのか?」
「探したよ。絶対昨日失くしたんだよね。昨日行ったのは、学校。そのあとジム。それから中華料理屋さん。そんで家に帰って、ない!って気づいたから、中華料理屋に戻ったんだけどなくって。道端に落としたかなーと思ってすごく見たんだけどなかったの。」
おっと?( ・ᄇ・)
だいじょうぶか??
なんか、大使館とかいくべきなんじゃ…?
とりあえず、行く…のか?え、まじで?
と思いながら、めちゃくちゃ心配だったけれども、彼ははやくはやくと手招きしてけろっとしていた。
まず、空港の荷物検査のまえにワンゲートあった。
パスポートチェックされる…?
ここで止められるか…な…?
「Hey !Guys!どこ行くの?なにするの?パスポート見せて。」
ほらされたさあああああああ!!
おわったああああ!!
と思ったが、1人にその質問をしたあと、「4人全員一緒のとこ行くの?だったら確認1人でいーよ。」とのことで、ジャッキーはパスポートを確認されることなく、荷物検査場へ押し流された。
荷物検査…!パスポート要?!
ここで止められるか…?!
と思ったがここでもパスポートはチェックされず、荷物検査もクリアした。
あとは飛行機に乗るだけ。
なんだ、乗れるんだ。よくよく考えたら、バンクーバーからイエローナイフとなれば国内線だし、ええんだろ。いやよくないだろ。いやどっちだろ。
なんて思っていながらも、ここまできたら…飛行機は乗れるだろうな。という気持ちの方が正直強かった。
ジャッキーも行く気満々だしなあ。
大丈夫、なんかな。
ちらりとジャッキーを見上げるも、やっぱり彼はまったく気にかけていないようだった。
ふしぎや…。でも行けるなら。行く行かないを決めるのはジャッキーだ。
ぴんぽんぱんぽーん
『飛行機のゲートが開きます。乗る方はどうぞこちらへ。』
さあ!きたぞこの時が!!
いざ!!オーロラのもとへ!
アナウンスが流れると同時にすぐ並んでチケットを見せた。
すっと乗れるのかと思いきや、ここできた。
「パスポート、見せてください。」
!!!!!?
綺麗なブロンドヘアーの添乗員さんが、さあ。と長くて細い指先をこちらに向けていた。
ここで…??もうすぐ目の前飛行機あるのに…??
ここでチェックなの…???
「あ、すみません。僕きのう、パスポート失くしちゃって。」
「は??なんて言った?」
じゃっきいいいいいいい!!!!
添乗員さんの顔を見よ!
めッッッッッッッちゃびっくりしてんぞ!
やっぱりパスポート失くすってこんな驚くほどのことなんだよ!
ちょっときょろきょろしてんぞおおお!??
「僕、国際免許証あるんですけど、これじゃだめですかね。」
国際免許証とは、いわゆる普通自動車免許証だ。
自国で、お金を払えば海外でも運転ができるようにと免許証を作らせてくれる。
(日本ではたしか3000円とか6000円とかだったはず。雑な記憶やな。)
「ちょ、ちょっと待ってね。確認してみる…他の子達は?」
ジャッキーだけ別のところへと座らせられ、我々はとりあえずチケットとパスポートを見せてクリア。その間に添乗員さんが国際免許証でも良いか確認してくれたが、結果はさらっとNOだった。
ええええーーーーーー。
いやいや、ここまできていけんのかーーーーーい。
しかも置いてけないでしょ。
こんなに楽しみにしてたジャッキー置いていけないよ。
ジャッキー、どうしてもいけないってこと…?
我々の間にもざわつく空気が流れたものの、とにもかくにもジャッキーと共に残るか、3人だけでイエローナイフに行くかの選択を迫られた。
誰よりもジャッキーの答えが早かった。
「パスポート見つけて明日行くわ。先行ってて〜。」
ええっ!( ・ᄇ・)
そんなことを言っている間に彼はすたすた行ってしまった。
なんてこったジャッキーまじかよ。潔すぎて逆になんか逆にこっちが心ついて行かずだよ…。
なんじゃそりゃあ…。
でもきっと、
きっと、来れるだろう。
あんなに楽しみにしてたんだもの。
きっと。
それを信じるしかない。
そう思って、
「絶対見つけて来てね。一緒にオーロラ見ような。」
とメッセージを打って、わたしたちは一足先にイエローナイフへ向かった。
その後彼から
「パスポート見つけた!明日の朝一の飛行機に乗って行く!!」
と連絡があったのは、我々がイエローナイフについて-22度の気温を纏った暴風を前に「ああああ゛ーーーー!!!ざざざむいいいい!!!!」と発狂することしかできなかった時だった。
寒さナメてた。
to be continued….